柱絞り通しダイアフラム工法
スマートダイアⅡ工法

スマートダイアⅡ工法は、上階柱と下階柱のサイズが異なる柱はり接合部に用いる柱はり接合工法です。本工法は、上階柱と下階柱の柱絞り量が50mm もしくは100mm の場合に使用可能で、建物全体の使用鉄骨量を減らしコストダウンに寄与します。また、通常のダイアフラムを用いた柱はり接合部と同様に設計・施工していただく事が可能です。その他、パネル部にストレートな鋼管を使用できることから、設計、施工の手間を軽減。供給体制も整え、早急な納入が可能であり、工期短縮を実現します。

主に使用されている建物・設備

  • オフィス
  • 官公庁
  • 学校
  • 病院
  • 商業施設
  • 工場
  • 発電所
  • データセンター

関連資料

CADデータ

商品構成

構成

構成

規格

材質(種類)

HFW490dho2(国土交通大臣認定 MSTL-0510、SN490C相当鍛鋼材)
TMCP325C(建築基準法第37条第二号に基づく国土交通大臣認定を取得した材料)

品種

下記に示す上階柱と下階柱の組合せにて使用可能

※下階柱□750、□800はお問合わせください。

絞り量50mm
□250-□300,□300-□350
□350-□400,□400-□450
□450-□500,□500-□550
□550-□600,□600-□650
□650-□700

絞り量100mm
□200-□300,□250-□350
□300-□400,□350-□450
□400-□500,□450-□550
□500-□600,□550-□650
□600-□700

構造種別 鉄骨造
適用柱
  • 490ニュートン級以下の角形鋼管、ただし溶接組立箱型断面柱はパネル部鋼管のみ使用可能
    (材料強度の基準強度(F値)325N/mm2以下)
     例:BCP325,BCP235,BCR295,JBCR295,TSC295,STKR490,STKR400,熱間成形角形鋼管
  • 絞り量:50mmまたは100mm(それ以外は不可)
  • 中柱(芯合わせ)、側柱(一方向偏心)、隅柱(二方向偏心)
  • 材料強度:上階柱F値≦パネル部鋼管F値
  • 上階柱板厚(tc):32mm以下かつtc≦tp(tp<tc≦tp+4の組み合わせの場合は、別途お問い合わせください)
  • パネル部鋼管板厚(tp):32mm以下
  • パネル部鋼管と下階柱は同幅とする
適用はりフランジ
  • 490ニュートン級以下
    (材料強度の基準強度(F値)325N/mm2以下)
    (JIS 規格材の場合、材料強度の基準強度(F値)を1.1倍可能)
  • はりフランジ幅(Bf):Bf≦min(650,dp)(dp:パネル部鋼管幅)
  • はりフランジ厚(tf):tf≦T-6(T:スマートダイア厚さ)
上階階高(h)
(はり芯間距離)
h≧2.5dp
柱芯間距離(L) L≧1.25dp
適用軸力範囲 -0.5Ny~+0.5Ny(Ny:上階柱の降伏軸耐力)

特長

  1. point-1パネルゾーンの製作を省力化

    パネル部鋼管に汎用的なストレートの鋼管を使用できるため、シンプルな設計が可能です。 また、加工工数低減等による工期短縮が図れます。

    スマートダイア使用イメージ

    スマートダイア使用イメージ
  2. point-2上下階の柱サイズが異なる柱はり接合部に使用可能

    上下階柱の柱絞り寸法は50mmと100mmに対応できます。
    自由度の高い建築物の設計を実現します。

    上下階柱の柱絞り寸法50mm,100mm
  3. point-3多様な材質の柱に使用可能
    • 490ニュートン級柱材(BCP325等)および400ニュートン級柱材(BCR295、BCP235等)に使用が可能です。
      熱間成形角形鋼管(基準強度325N/㎟以下)にもご使用いただけます。
    • 国土交通大臣認定を取得したBCR295相当の板厚25mm対応品も使用可能です。
    • 下階柱サイズは□300~□700まで対応可能です。
  4. point-4中柱・側柱・隅柱で兼用が可能
    • 中柱(芯合わせ)、側柱(一方向偏心)、隅柱(二方向偏心)の全てを1型式で兼用できます。
    • スマートダイアの取り付け方法も検討不要です。
    多様な材質の柱に使用可能
    注意
    注意

    スマートダイアには、上面と下面がありますのでご確認ください。

    警告
    警告

    偏心する場合は、上下鋼管外面が必ず1面以上一致する必要があります。

  5. point-5鉄骨製作工数の削減や工期の短縮が実現
    • パネル部鋼管に汎用的なストレート形状の鋼管を使用するため、シンプルな設計が可能です。
    • ダイアフラムの出寸法(スマートダイア側面とパネル部鋼管外面との距離:e)が、25mmと30mmの型式をそれぞれラインナップ。
      下ダイアフラムと出寸法を統一できますので、複雑なはり加工が不要です。
    • 従来のテーパーコラムでは対応が難しかったはりの段差にも対応が可能です。
      スマートダイアⅡ工法を用いれば、柱はり接合部をシンプルに設計でき、施工性も良好です。
    • スピーディーな納入体制を確立しています。鉄骨製作工数の削減や工期短縮を実現します。
    鉄骨製作工数の削減や工期の短縮が実現
  6. point-6実験および解析によりダイアフラムの最適形状を決定
    • 有限要素法解析により応力伝達効率を考慮したダイアフラムを設計。スマートダイア下面の凸部効果により、上階柱によるダイアフラムの面外変形を拘束します。また、実験によりその性能を確認しています。
    • スマートダイアは、上階柱との保有耐力接合を満足しています。一般的な通しダイアフラムと同様に扱うことが可能です。
    実験および解析によりダイアフラムの最適形状を決定
    実験および解析によりダイアフラムの最適形状を決定
    実験および解析によりダイアフラムの最適形状を決定
  7. point-7鋳鋼タイプから鋼板タイプに切替え

    材料入手性が向上し、短納期を可能としました。

    材質(種類) TMCP325C※1

    ※1 建築基準法第37条第二号に基づく国土交通大臣認定を取得した材料

  8. point-8国土交通大臣認定および(一財)日本建築センター評定を取得
    • スマートダイアは、通しダイアフラムとして必要な板厚方向の性能を有する国土交通大臣認定取得材を採用しています。
    • スマートダイアを用いた柱はり接合部の性能および施工方法については、(一財)日本建築センターの評定を取得しています。
    国土交通大臣認定書(写)

    国土交通大臣認定書(写)

    HFW490dho2:MSTL-0545

    (一財)日本建築センター評定書(写)

    (一財)日本建築センター評定書(写)

    BCJ評定-ST0194

設計フロー

スマートダイアは上階柱の耐力よりも高い耐力を有している(保有耐力接合)ため、一般的な通しダイアフラムを用いた柱はり接合部と同様に設計が可能です。上階柱と下階柱のサイズが決まれば、対応するスマートダイアの型式も決定します。

1

構造種別の確認

  • 構造種別は鉄骨造(鋼管コンクリート構造は対象外)
  • スマートダイアへの筋違い取り付けの有無
2

適用柱の確認

  • 鋼管形状:角形鋼管(ただし溶接組立箱型断面柱はパネル部鋼管のみ使用可能)
  • 鋼管材質:490ニュートン級以下(F値325N/㎟以下)
  • 鋼管組合せ
    ①材料強度:(上階柱F値)≦(パネル部鋼管F値)
    ②鋼管板厚:tc≦tp
  • 上階柱位置の確認
  • 柱芯間距離(L):L≧1.25dp
3

適用はりの確認

  • はり形状:H形
  • はり材質:490ニュートン級以下
  • はりフランジ寸法
    ③はりフランジ厚(tf):tf≦T-6
    ④はりフランジ幅(Bf):Bf≦min(650,dp)
  • はり取り付け位置の確認(下図参照)
  • はり芯間距離(h):h≧2.5dp
適用はりの確認
4

適用軸力範囲の確認

  • スマートダイアを用いた柱はり接合部に発生する軸力(N)が適用軸力範囲内であるか確認
  • -0.5Ny≦N≦+0.5Ny(Ny:上階柱の降伏軸耐力)

軸力(N)の値

  • ルート3設計の場合…崩壊メカニズム時の軸力(Nu
  • ルート3以外の場合…地震力による軸力をγ倍した軸力
  ルート1-1 ルート1-2 ルート2
γ 1 1.67 2
5

スマートダイア型式決定

本指針に規定される以外の事項は下記に示す文献等による。

2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書(国土交通省住宅局建築指導課 他 監修)
鋼構造設計基準—許容応力度設計法—(2005)(日本建築学会)
2018年版 冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル(独立行政法人建築研究所 監修)
建築工事標準仕様書JASS6鉄骨工事(2018)(日本建築学会)
鋼構造接合部設計指針(2012)(日本建築学会)

注意
注意
  • はり段差がある場合、スマートダイアの突起と内ダイアフラム等の納まりをご確認ください。
    スマートダイアは柱はり接合部の上ダイアフラムとしてご使用ください。
  • スマートダイアは柱はり接合部の一番上のダイアフラムとしてご使用ください。

各種寸法

各種寸法、適用上階柱および適用はりについては、下のPDFにて確認ください。

認定書・評定書

スマートダイアを用いた柱はり接合部の性能および施工方法については、(一財)日本建築センターの評定を取得しています。
また、スマートダイアは通しダイアフラムとして必要な板厚方向の性能を有する国土交通大臣認定取得材を採用しています。

国土交通大臣認定書(写)

国土交通大臣認定書(写)

HFW490dho2:MSTL-0545

(一財)日本建築センター評定書(写)

(一財)日本建築センター
評定書(写)

BCJ評定-ST0194

工場加工

材質(種類)

HFW490dho2(国土交通大臣認定 SN490C相当品)、TMCP325C(国土交通大臣認定)

組立

スマートダイア上面にセンターマークを設けています。上階柱の位置決めにご使用ください。

※上面がショット肌の製品がありますが、性能に問題はありません。

溶接材料

  • 被覆アーク溶接
    低水素系490ニュートン級高張力鋼用(JIS Z 3211 D5016相当以上)
  • ガスシールドアーク溶接
    軟鋼および490ニュートン級用高張力マグ溶接用ソリッドワイヤ(JIS Z 3312 YGW11相当以上)

溶接

  • 柱およびはりとスマートダイアの溶接は完全溶込み溶接とし、「鉄骨工事標準仕様書JASS6鉄骨工事」に準拠して実施してください。
  • 完全溶込み溶接の開先は、日本鋼構造協会「溶接開先標準(JSS I 03-2005)」MC-TL-1B、GC-TL-1Bに基づき、
    柱側およびはり側に加工してください。

開先部形状例

開先部形状例

組立溶接

組立溶接

予熱

鋼材の種類板厚により、必要に応じて適切な予熱を行う。
(スマートダイアの板厚はT寸法とする。)

本溶接

本溶接

対辺ごとに溶接を行う。
(自動ロボット溶接の場合はこれによらない。)

検査

方法

溶接部の検査は、超音波探傷検査等で行ってください。検査は、「鉄骨工事標準仕様書JASS6鉄骨工事」に準拠してください。

不良溶接部の補正

有害な欠陥のある溶接部は除去して再溶接してください。
溶接部に割れの入った場合には、割れの入った両端から50㎜以上はつり取り再溶接してください。

注意
スマートダイアの工場加工にあたっての注意点
  • スマートダイアを柱材に取り付け加工するにあたっては、設計図添付用の「スマートダイアⅡ工法設計施工標準図」を参照してください。
  • 鋼板タイプ(SDe型式)には中央孔がありません。空気孔が無いことを考慮して仕口の製作手順をご検討ください。
  • 鋼板タイプ(SDe型式)に孔を設ける場合は規定があります。その際はセンクシアにお問い合わせください。

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