新たな補強金物(SPスティック)を追加し、ハイリングとSPスティックを用いて、貫通孔を補強します。
新たな補強金物「SPスティック(鍛鋼品)」を開発しました。
また、高せん断耐力品ハイリング(Bタイプ)を追加し、補強する貫通孔部の応力に対して、下記「補強例」の4種類の方法で貫通孔を補強します。
【補強例】
Rタイプ(基本パターン) → ハイリングのみで補強(従来どおり)
Bタイプ(せん断応力が大きい場合) → ハイリングBのみで補強
Sタイプ(応力が小さい場合) → SPスティックのみで補強
R+Sタイプ(応力が大きい場合) → ハイリングとSPスティックを組み合わせて補強
SPスティックを貫通孔の上下に取り付けることで、補強耐力(曲げ耐力)が向上しました。
これにより、R+SタイプはBタイプと比べて約35%の軽量化を実現しつつBタイプ同等の曲げ耐力を発揮します。
SPスティックは、はりウェブに隅肉溶接にて取り付けることで、従来品よりも溶接量を低減しました。
例えば、従来品に比べφ150の場合は、Sタイプは約60%、R+Sタイプは約25%の溶接量を低減できます。
ご要望の多かったφ225,φ275用をラインアップに追加しました。
Φ650、Φ700までの特形品もあります。
これまで適用できなかった、設計用軸力が作用するはりへの適用が可能となりました。
詳細はオプションのページをご確認ください。
ハイリングⅢ工法では、ハイリングとSPスティックの2種類の補強金物を組み合わせることで、応力に対して適切な補強が可能です。
はりの種別により適用可能な型式が異なります。
適用型式 | 大ばり | 小ばり | 片持ばり |
---|---|---|---|
Rタイプ | ○ | ○ | ○ |
Bタイプ | ○ | ○ | ○ |
R+Sタイプ | ○ | ○ | ○ |
Sタイプ | × | ○ | ○ |
※Sタイプは小ばり・片持ばりにのみ適用できます。
応力に対してRタイプ、Bタイプ、R+Sタイプ、Sタイプを使い分けることが可能です。
はり | H -600×200×9×12 |
---|---|
孔径 | Φ300 |
耐力検討は当社にて行います。
※R+Sタイプ、SタイプはSRC造には適用できません。
高せん断応力への対応が可能にハイリングBタイプを標準化
φ100~φ300まで25mmピッチ対応可能
φ500、φ550、φ600も標準化しました。
より経済設計が可能に
SPスティックを標準化
SPスティックで補強することにより、効率的に曲げ耐力を向上することが可能
Φ100~Φ300(25㎜ピッチ)
Φ300~Φ450(50㎜ピッチ)
Φ650、Φ700の特形品も対応可能
S造
※詳細は適用範囲をご参照ください。
貫通孔のサイズに合わせて型式を標準化していますので、補強材の設計や製作、拾い出し作業等が不要です。
独自の溶接開先形状を採用し、必要溶接高さ(段部)以上の溶接を確保することで、はりウェブ面まで溶接する必要が無く、溶接量の低減を実現しました。
(例)貫通孔1箇所あたりの溶接量
はりサイズ | H700×300×13×24 |
---|---|
貫通孔径 | Φ300 |
在来工法 | 2PL-9×550×550 |
ハイリング | 300Rまたは300B |
在来工法に比べ、仮組みの工数が少なく、溶接熱によるはりの変形やひずみも少ないので、作業工数の低減が可能です。
在来工法に比べ、ピッチを狭くすることが可能です。
※無条件ではありません。検討が必要です。
従来は「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」に従って、塑性化領域を定義していましたが、シアスパン比(L₀/D)とはりが塑性化する領域の関係を考慮することで、塑性化領域の範囲を最適化しました。
寸法表に関しては、下のPDFにてご確認ください。
構造種別 | S造 | |
---|---|---|
適用可能はり種別ごとの補強タイプ | 大ばり:Rタイプ,Bタイプ,R+Sタイプ 小ばり・片持ばり:Sタイプ,Rタイプ,Bタイプ,R+Sタイプ |
|
H形断面鉄骨 はり成(D) | 2400㎜以下 | |
はり材質 | 400N/㎟級、490N/㎟級、520N/㎟級、550N/㎟級、590N/㎟級 | |
塑性化領域への貫通孔 | 2箇所以下(ただし、2箇所の貫通孔径の合計は2/3D以下) | |
貫通孔径(d) | Φ100~700、孔径比:はり成の2/3以下 | |
はりウェブ幅厚比 | 95以下(ただし、塑性化領域に設置する場合はFA,FBのみ) | |
はり成とはりフランジ幅(B)の比 | D/B≦8 | |
ピッチ(P) | 孔中心間距離P≧1.5d(dは孔径の平均) | |
偏心量(e) |
Rタイプ Bタイプ |
大ばりの塑性化領域:かつ それ以外: |
R+Sタイプ | 大ばりの塑性化領域:かつ それ以外: |
|
Sタイプ | ||
はりを構成する構造部材との距離(G) (ガセットプレート等) 補強金物同士の距離(P') |
ハイリング・SPスティック端部から20㎜以上 | |
フランジスプライスプレートとSPスティックの距離(G') | 0㎜以上 |
設計用軸力の作用するはりの適用範囲はオプションをご参照ください。
tf:はりフランジ厚 | rf:フィレット部半径(ビルトHはりの場合は脚長) |
d3:ハイリング外径 | B1:SPスティック長さ |
S:SPスティック高さ | r1:rf+5㎜以上(ハイリング外径~はりフランジまでの間隔) |
r2:rf以上25mm以下(SPスティック端~はりフランジまでの間隔) | r3:2a1mm以上(SPスティック端~下孔径までの間隔) |
構造種別 | SRC造 |
---|---|
H形断面鉄骨 はり成(D) | 1200㎜以下 |
適用可能はり種別ごとの補強タイプ | 大ばり・小ばり・片持ばり:Rタイプ・Bタイプ |
はり材質 | 400N/㎟級、490N/㎟級 |
塑性化領域への貫通孔 | 1箇所以下 |
貫通孔径(d) | Φ100~600 孔径比:0.7Dかつ0.4Drc以下(ただし、塑性化領域はd≦0.28Drc) |
鉄骨はりウェブ幅厚比 | 95以下 |
鉄骨はり成とRCはり成(Drc)の比 | D/Drc≧0.37 |
ピッチ(P) | 孔中心間距離P≧3.0d(dは孔径の平均) |
偏心量(e) |
かつ
|
RC上下端部と貫通孔の縁あき(ed) | 180㎜以上 |
はりを構成する構造部材との距離(G) (ガセットプレート等) 補強金物同士の距離(P') |
ハイリング外径から20㎜以上 |
※耐力確認により本規定以上の寸法が必要となる場合があります。
RC部分は別途検討が必要です。
設計用軸力が作用するはりには使用できません。
数多くの実大実験と解析を基に耐力・変形の性能を確認し評定を取得していますので、貫通孔部の耐力評価が明確です。
はり | H600 |
---|---|
貫通孔 | Φ300 |
設計用軸力の作用するはりにもハイリングをご使用いただくことが可能です。
補強パターンは2つありますので設計条件に見合う補強方法を選択できます。
ハイリングのみで補強されたはりに設計用軸力が作用している場合も適用が可能になりました。
構造種別 | S造 |
---|---|
適用型式 | Rタイプ・Bタイプ |
軸力範囲 | -0.25Ny~0.25Ny Ny:はりの軸耐力 |
貫通孔径(d) | 1/2D以下 |
塑性化領域 | 適用不可 |
その他の適用範囲 | S造用適用範囲と同様 |
ハイリングのみで補強した有孔部の補強耐力は設計用軸力分、低下します。
孔位置に生じる応力に対して有孔部の耐力が上回っていることの確認が必要です。
別途、設計用軸力を負担する補強プレートを取り付けることにより、ハイリングで補強した有孔部の耐力を設計用軸力分低下させることなく検討ができます。
構造種別 | S造 |
---|---|
適用型式 | Rタイプ・Bタイプ |
軸力範囲 | -0.25Ny~0.25Ny Ny:はりの軸耐力 |
貫通孔径(d) | 1/2D以下 |
塑性化領域 | 適用不可 |
その他の適用範囲 | S造用適用範囲と同様 |
パターン②の耐力検討は、曲げ・せん断力を対象としています。
作用する軸力を負担可能な補強プレートを設計者様にて別途ご検討ください。補強プレートの材料手配は、施工会社様にて別途ご対応ください。
パターン②で連続孔となる場合、補強プレートのサイズにより、適切なピッチを確保してください。