なぜ同じ建物でも必要な雨水対策量は変わるのか?
コラム「豪雨が激甚化する時代、雨水対策をどこまで考える?」では、近年の豪雨傾向や施設用途、事業継続といった視点から、「自分たちの施設ではどこまで備えるか」を考える機会が増えていることをご紹介しました。
では実際に雨水対策を計画する際、必要な雨水対策量(※)はどのように決まるのでしょうか。必要な雨水対策量は、単純に建物の大きさだけで決まるものではありません。自治体が定める条件や敷地条件、放流条件などをもとに必要な対策量が整理され、その条件を満たすように計画が進められます。
今回は、必要な雨水対策量がどのような考え方で算定されているのかを整理します。
※用語解説:「雨水対策量(必要対策量)とは」
自治体が雨水流出抑制のために求める対策量のことです。雨水を一時的にためる「貯留」や、地中へ浸透させる「浸透」などを組み合わせて確保します。雨水貯留槽の容量は、この雨水対策量を満たすために算定されます。
雨水対策量は「建物の大きさ」だけでは決まらない
「建物が大きいほど雨水貯留槽も大きくなる」と思われるかもしれません。
しかし実際には、多くの自治体が雨水流出抑制のための指針や開発条件を定めており、設計者はそれらの条件に基づいて必要な対策量を算定します。
そのため、
- 自治体が異なる(地域の地盤や降雨状況の違いによる)
- 放流条件が異なる(放流先の下水道整備状況等の違いによる)
- 敷地条件が異なる(敷地内の舗装や緑地等の整備方法の違いによる)
といった理由で、同じ用途・同じ規模の建物でも必要な雨水対策量が変わることがあります。
必要な雨水対策量はどのような条件で算定されるのか
- 敷地条件
敷地面積や舗装面積、緑地面積などによって、降った雨がどのように流出するかが変わります。
- 流出条件
どの程度の雨水流出抑制が求められるのか、その雨水をどこへ放流するのか、によって必要な対策量は変わります。
- 地盤条件
敷地の地盤が浸透できるか、それともできないか。
自治体によっては浸透能力マップなどを公開し、その地域の浸透特性を算定条件として考慮するケースもあります。

同じ建物(延床面積)でも、必要な雨水対策量が変わる理由
例えば同じ規模の施設であっても、
- 計画地の自治体が異なる
- 雨水の流出条件が異なる
- 浸透能力が異なる
- 駐車場や外構の構成が異なる
といった条件によって必要な雨水対策量は変わります。
つまり、必要な雨水対策量は建物単体で決まるのではなく、建物と敷地を含めた計画条件全体で決まると考える方が実態に近いでしょう。
必要な対策量を満たす方法は一つではない
自治体が定める必要対策量は、必ずしも雨水貯留槽の容量だけで満たすとは限りません。
計画条件によっては、
- 雨水を一時的に貯留する
- 地中へ浸透させる
- これらを組み合わせる
といった方法で対応するケースもあります。
重要なのは、「何㎥の貯留槽を設置するか」ではなく、自治体が求める必要対策量をどのように実現するかという視点です。

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必要対策量が見えてくると、次の検討が始まる
必要な雨水対策量が整理できると、次に考えるべきテーマが見えてきます。
例えば、
- どこに設置するのか
- どの方式を選ぶのか
- 設計変更に対応できるのか
- 搬入や施工条件に問題はないか
といった検討です。
必要な雨水対策量を実現する雨水貯留槽/浸透槽の種類は一つではなく、また、方式の選択によって設計の自由度や施工性も変わります。
次回は、今回整理した雨水対策量を前提に、最適な建設計画を進めるために、設計の進行に合わせて雨水貯留槽の種類や方式をどのように選択していくのかを解説します。

関連製品情報
センクシア株式会社では、建築用構造部材の分野で培ってきた構造技術を雨水対策へと応用し、。近年増加する集中豪雨や都市型水害への対策として開発されたプラスチック製雨水貯留槽/浸透槽「アクアキャッチSS」を取り扱っています。
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