豪雨が激甚化する時代、雨水対策をどこまで考える?
近年、「これまで経験したことのないような大雨」という言葉を耳にする機会が増えています。関東でも短時間に非常に激しい雨が降り、道路の冠水や建物への浸水が発生する事例が見られるようになりました。
気象庁によると、1時間80mm以上の猛烈な雨の年間発生回数は、1976~1985年の平均約14回から、2016~2025年には平均約25回へ増加しています。近年は1980年頃と比較して、強い雨の発生頻度がおおむね2倍程度に増加しているとされています。
| 1976~1985年 | 2016~2025年 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 1時間50mm以上 | 年約226回 | 年約340回 | 約1.5倍 |
| 1時間80mm以上 | 年約14回 | 年約25回 | 約1.8倍 |
| 1時間100mm以上 | 年約2.2回 | 年約4.4回 | 約2倍 |
| 日降水量300mm以上 | 年約28日 | 年約55日 | 約1.9倍 |
想定を超える大雨が身近になっている
近年は関東でも、短時間に集中的な雨が降る事例が珍しくなくなっています。
2026年8月には東京都板橋区付近で1時間120mm以上の雨が記録されました。気象庁が「記録的短時間大雨情報」を発表するレベルの猛烈な雨であり、東京都北区や埼玉県戸田市付近でも約100mmの雨が観測されました。
日付別の記録的短時間大雨情報 | 記録的短時間大雨情報データベース
大雨による浸水というと河川の氾濫を思い浮かべがちですが、実際にはそれだけではありません。
内水氾濫は河川があふれなくても発生する
都市部で発生する浸水被害の多くには、「内水氾濫」が関係しています。

内水氾濫とは
内水氾濫とは、大量の雨が短時間に降ることで、下水道や排水施設の処理能力を超え、雨水の排水が追いつかなくなる現象です。河川が氾濫していなくても、道路や敷地内に水がたまり、浸水被害につながる場合があります。
特に都市部では、建物や舗装によって地面が覆われているため、雨水が地下に浸透しにくくなっています。その結果、降った雨が短時間で排水設備へ集中しやすく、内水氾濫が発生しやすい環境にあるとされています。商業施設や工場、物流倉庫などの敷地も同様です。建物や舗装面の割合が大きい施設では、短時間豪雨が発生した際に雨水が一気に集まりやすく、排水施設への負荷が高まることがあります。
つまり、内水氾濫は河川の近くに限った話ではなく、都市部に立地する多くの施設に関係します。
雨水対策の基本は自治体指針に沿った計画
施設の開発計画における雨水対策は、各自治体が定める雨水流出抑制指針を基本にします。
多くの計画では、その要件を満たすために雨水貯留槽が設置されています。まずは地域ごとの指針を確認し、必要な雨水貯留容量を確保することが基本となります。
施設ごとのリスクを踏まえて考える

一方で、同じ浸水被害であっても施設によって受ける影響は異なります。
雨水貯留槽によって必要な貯留量を確保することを前提に、施設ごとの利用実態や立地条件によって、浸水時に想定されるリスクは変わります。
例えば商業施設では来場者への影響や営業停止リスクが課題になるかもしれません。工場では生産設備への影響、物流倉庫では保管物や物流機能への影響が重要になる場合があります。
また、周辺道路の冠水が想定されるエリアなのか、地下設備があるのか、重要設備はどこに配置されているのかによっても、浸水時の影響は異なります。
近年の豪雨傾向や浸水リスクの高まりを踏まえると、雨水対策をBCP(事業継続計画)の観点から見直してみるのも一つの考え方です。
まとめ. 「どこまで備えるか」を考えるために
豪雨の発生頻度や雨量は長期的に増加傾向にあります。近年は関東でも短時間に非常に激しい雨が降り、内水氾濫による浸水被害が発生する事例が見られています。
施設計画における雨水対策の基本は、自治体が定める雨水流出抑制指針に沿った計画ですが、近年の豪雨傾向を踏まえたとき、自治体指針に沿った計画を前提としながら、自社の施設ではどのようなリスクがあり、どこまで備えるべきなのか。頻発する豪雨の傾向は、そうした視点を改めて考えるきっかけになっているかもしれません。

関連製品情報
センクシア株式会社では、建築用構造部材の分野で培ってきた構造技術を雨水対策へと応用し、。近年増加する集中豪雨や都市型水害への対策として開発されたプラスチック製雨水貯留槽/浸透槽「アクアキャッチSS」を取り扱っています。
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