スーパーハイベース工法ではベースプレートを剛体としアンカーボルトのみを降伏させていましたが、ハイベースNEO工法ではアンカーボルトの降伏よりわずかに先行してベースプレートを降伏させることで、アンカーボルトとベースプレートの両方の変形にて地震エネルギーを吸収する設計としています。
アンカーボルトの塑性変形に追従しベースプレートも変形することから、柱脚のスリップ現象が低減されます。(ただし、終局時にはアンカーボルトの塑性変形が支配的になるため、ベースプレートの変形はわずかです)なお、短期許容耐力はベースプレート降伏時の耐力、終局耐力はアンカーボルト軸部降伏時の耐力としています。
柱仕様とハイベース型式の組み合わせにより保有耐力接合でお使いいただけることもありますが、
優れた伸び能力の有するアンカーボルトを使用している本工法は、収まり等の施工面や経済設計を考慮し、柱脚ヒンジ仕様を推奨しております。
ベースプレートが鋳鋼であるGタイプは造形が自由であることから、高い剛性が発揮できる形状となっています。一方エコタイプは、Gタイプに比べ回転バネ定数が低くなりますが、製品価格を抑えることが可能です。高い回転バネ定数が必要な建物の場合はGタイプを、高い回転バネ定数が必要ない建物の場合は、エコタイプをお勧めします。
ハイベースNEO工法にブレースが取りつく場合、ブレース応力を柱脚部応力に加味して柱脚部の検討を行います。
なお、ブレースが偏心する場合、偏心応力を考慮した柱脚検討応力を算出し検討を行う必要があります。
計算方法等の詳細は、ハイベースNEO工法設計ハンドブックをご参照ください。
混在して使用する場合、従来の露出型柱脚の設計フローに基づきDs値の割増が必要です。
また、ハイべースNEOのH形柱用が混在する場合や在来工法との併用の場合も、上記と同様Ds値の割増が必要です。
側柱用(BS型式)と隅柱用(BC型式)をご用意しております。
柱に対してベースプレートを偏心させる事により、外壁との納まりの問題を解消させることが可能です。
ただし、偏心方向は非偏心方向と比べて耐力が低下しますので、性能確認をお願いします。
ベースプレートの特注品によって対応可能な場合がありますので、別途お問い合わせください。
ハイベースNEO工法は590N級以下の柱材を使用できます。
ベースプレートのF値は325N/㎟であるため、柱とベースプレート溶接部のF値は柱とべースプレートのF値の小さな方の値となります。そのため柱の脚部としてのF値上限はベースプレートのF値である325N/㎟となります。
検討方法については別途お問合せください。
ハイベースNEO工法及びスーパーハイベース工法は、CFT造にも適用可能です。
S造柱の場合と同様に、カタログに記載している標準品を用いて設計して頂けます。
ハイベースNEO工法及びスーパーハイベース工法偏心タイプでは、柱脚部に作用するせん断力を次の4つの方法を用いて基礎(基礎梁)に伝達します。
詳細は設計ハンドブックをご参照ください。
※高せん断耐力用の柱脚工法もございますので併せてご検討ください。
ハイベースNEOおよびスーパーハイベース工法における基礎柱形主筋は、アンカーボルトを基礎(基礎梁)に定着し引張力を伝達することを目的として配筋しています。基礎柱形に立上り部の無い場合(基礎梁天端と基礎柱形天端が一致している場合)は、基礎柱形はRC柱ではなく基礎梁の一部であるとみなしています。
ハイベース工法のBCJ評定取得時の実大実験でも基礎柱形主筋にはフックを設けず、頂部帯筋は一重で実験を行っており、その性能を確認しています。
したがって基礎柱形に立上り部がない場合、柱形主筋頂部のフックは設けず、頂部帯筋は一重でよいと考えます。
ただし、ひび割れや熱を受けた場合の鉄筋付着強度の低下を防ぐためのフックの要否は設計者様でご判断頂くようお願いいたします。
「2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書」露出型柱脚を使った建築物の計算ルート別の設計フローにおけるルート3の⑧「柱脚の保有耐力接合の判定」がNOの場合、⑩の項目の確認の前に「純ラーメン構造(直交方向にブレースを有する場合も含む)か、ブレース構造か」の判定を行います。
純ラーメン構造の場合には保有水平耐力は、Ds値の割増をせずに第1層の保有水平耐力が必要保有水平耐力の1.1倍以上とすることで計算が可能です。
ブレース構造の場合には、従来と同じく設計フローに則り⑩「1階Dsを0.05割増して保有水平耐力を確認(柱及びはりの部材群としての種別がDの場合は割増しない)」の確認を行ってください。
なお、ルート1およびルート2に関しては、設計フローの通りに設計してください。
可能です。
SN490B同等の評価を受けており、溶接性に優れた材料です。したがって、通常の圧延鋼材同様の溶接方法で全く問題ありません。
ハイベースは昭和48年に開発して以来、鉄骨柱との溶接部はJ形開先を有した鋳肌面でした。
過去これが要因の溶接欠陥の報告はありません。
また、ガセットプレートの溶接管理方法については、鉄骨工事技術指針・工場製作編に準拠して行ってください。
※ガセットプレートの取り付け等、不明な点はお問い合わせください。
可能です。
H形鋼柱であれば、そのまま問題なくメッキすることが可能です。
ただし、以下に関しては事前にご注意下さい。
角形鋼管柱や円形鋼管柱の場合、閉鎖断面になっているため、内部の気体が膨張し爆発する危険性があります。
そのため、ハイベースと柱を溶接したものを溶融亜鉛メッキをする場合はガス抜き孔をあける必要があります。
ただし、孔位置や大きさに制限があります。詳細はお問い合わせください。
ハイベースNEO工法及びスーパーハイベース工法は、剛性および耐力の大きい柱脚です。
従って、基礎柱形部についても十分な耐力を確保しなければなりません。
設計方法は、以下2通りの方法があります。
基礎柱形部(b)を口径とするRC柱の耐力を算定し、柱脚部に発生する許容曲げ耐力(M)、および各型式の終局曲げ耐力(Mu)に対して、破壊しないように設計します。
このとき、アンカーボルトより基礎柱形主筋に円滑に力を伝達するために、鉄筋の定着長さ(Lt)を確保する必要があります。
rMa>M…A
rMu>Mu…B
※上式を満足するようにb×b㎜のRC柱の耐力を算定します。
鉄筋の定着長さの詳細は、各工法の設計ハンドブックをご参照下さい。
1-1.許容曲げ耐力
基礎柱形部をRC柱とみなし、このRC柱の許容曲げ耐力rMaを算定し、柱脚部の許容応力度設計時の曲げ応力Mに対してA式を満足するように設計します。
rMaの算出に際しては、日本建築学会編『鉄筋コンクリート構造設計規準・同解説』14条をご参照下さい。
1-2.終局曲げ耐力
基礎柱形部をRC柱とみなし、このRC柱の曲げ終局強度rMuを算定し、ハイベースNEO工法又はスーパーハイベース工法の曲げ終局耐力に対してB式を満足するように設計します。
rMuの算定に際しては、『2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書』付録1-3等をご参照下さい。
1.の方法でRC柱の耐力を算定する代わりに、『設計ハンドブック』基礎柱形の設計例を適用する方法があります。
(基礎柱形の設計例を採用するにはいくつかの条件があります。詳細は、設計ハンドブックをご参照下さい。)
設計ハンドブックに記載されている耐力図表は、柱脚部に発生している力によって、Ⅰゾーン(圧縮軸力ゾーン)とⅡゾーン(引張軸力ゾーン)に分かれています。
この場合の鉄筋量は、ゾーン内のどのような発生力の状態でも、基礎柱形の耐力が十分であるように、最大値として算出しております。
したがって、ハイベースを採用した柱脚部が、どちらのゾーンに当てはまるかを確認できましたら、設計例の通りに配筋して頂いて基礎柱形部の設計は完了となります。
基礎柱形を拡大する場合は別途お問合せください。
ハイベースNEO工法は、ベースプレートの変形を許容する設計ですが、ほとんどがアンカーボルトの塑性変形に支配されます。したがって、地震後もアンカーボルトの変形に比べベースプレートの残留変形は少ないため、従来通りアンカーボルトの再締付により補修が可能です(アンカーボルトおよびベースプレートの残留変形を確認し、変形量から補修可能な範囲であるかの確認が必要です)。
最内側のアンカーボルトと外側のアンカーボルトの間隔を確保していますので、その間に鉄筋を通すことが可能です。
ホームページに公開している図面に基礎はり端部納まり例がありますので、ご参考にしてください。
※リンク先「CADデータ一式」にありますそれぞれのデータ中に、配筋の納まり図が掲載されています。
また、BIM用3Dデータを公開しています。
アンカーボルトの外側のアンボンドスリーブはアンカーボルトとコンクリートの付着を切るために用い、アンカーボルトの伸び能力を最大限生かすために設けています。
それにより十分な塑性変形能力を有し、安定した耐力を確保できることから十分な靭性をもつ信頼性の高い柱脚工法といえます。
アンボンドスリーブは商品の一部のため決して取り外さないでください。
二軸曲げについては、以下の様に検討します。
X、Y方向の耐力をMaとするとθ(シータ)方向の耐力θ(シータ)Maは下図のようになります。
Ma = Ma/( sinθ(シータ) + cos θ(シータ))
例えば、θ(シータ) = 30°方向の耐力なら、30°Ma
30°Ma = Ma /( sin 30°+ cos 30°)≒ 0.73 Maとなります。
柱の反曲点高さは、柱および直上階のはりの剛度に依存し、ばね定数の変動に対しては大きな影響を与えません。
ばね定数が30%変動した場合、それに対する反曲点高比y0に与える影響は数パーセントです。
従って実用上ばね定数の変動が反曲点高比に与える影響は少ないと考えられます。
定着板を切断してはいけません。
ハイベースNEO工法及びスーパーハイベース工法では、柱から伝達された力をアンボンド形式のアンカーボルトを介して定着板に伝えます。
そのため、各工法の各アンカーボルト径ごとに理論上アンカーボルト定着に必要な定着板の寸法(大きさ・厚さ)を算出し、その寸法は実験にて定着に対し安全であることが確認されています。
また、国土交通大臣認定においても、各アンカーボルト径ごとに、定着板の寸法が定められています。
従って定着板の形状が変わるような諸処置は認められません。
干渉しない同等性能のハイベースの型式で検討いただくか、配筋の工夫により干渉を回避していただく様ご検討下さい。
アンカーボルト設置の現場施工は当社の認定施工業者が行うよう評定で定められています。
したがって、認定施工業者以外での工事はできません。
ハイベース検討システムをご使用いただくことで追加検討が可能です。ハイベース検討システムでの追加検討後、せん断NGが解消出来ればご使用可能です。
販売終了商品の一覧表を掲載しております。