鉄骨ばり貫通孔補強工法
「ハイリングⅢ工法」

新たな補強金物(SPスティック)を追加し、ハイリングとSPスティックを用いて、貫通孔を補強します。

主に使用されている建物・設備

  • オフィス
  • 官公庁
  • 学校
  • 病院
  • 商業施設
  • 工場
  • 発電所
  • データセンター

目的・効果

  • コストを抑える

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特長

  1. point-1補強金物を追加

    新たな補強金物「SPスティック(鍛鋼品)」を開発しました。
    また、高せん断耐力品ハイリング(Bタイプ)を追加し、補強する貫通孔部の応力に対して、下記「補強例」の4種類の方法で貫通孔を補強します。

    【補強例】
    Rタイプ(基本パターン) → ハイリングのみで補強(従来どおり)
    Bタイプ(せん断応力が大きい場合) → ハイリングBのみで補強
    Sタイプ(応力が小さい場合) → SPスティックのみで補強
    R+Sタイプ(応力が大きい場合) → ハイリングとSPスティックを組み合わせて補強

  2. point-2曲げ耐力の向上

    SPスティックを貫通孔の上下に取り付けることで、補強耐力(曲げ耐力)が向上しました。
    これにより、R+SタイプはBタイプと比べて約35%の軽量化を実現しつつBタイプ同等の曲げ耐力を発揮します。

  3. point-3溶接量の低減

    SPスティックは、はりウェブに隅肉溶接にて取り付けることで、従来品よりも溶接量を低減しました。
    例えば、従来品に比べφ150の場合は、Sタイプは約60%、R+Sタイプは約25%の溶接量を低減できます。

  4. point-4ラインアップを拡充

    ご要望の多かったφ225,φ275用をラインアップに追加しました。
    Φ650、Φ700までの特形品もあります。

  5. point-5溶接量の低減

    これまで適用できなかった、設計用軸力が作用するはりへの適用が可能となりました。
    詳細はオプションのページをご確認ください。

補強パターン

ハイリングⅢ工法では、ハイリングとSPスティックの2種類の補強金物を組み合わせることで、応力に対して適切な補強が可能です。

Rタイプ(ハイリングのみ)
Rタイプ
(ハイリングのみ)
Bタイプ(ハイリングのみ/高強度タイプ)
Bタイプ
(ハイリングのみ/高強度タイプ)
Sタイプ(SPスティックのみ)
Sタイプ
(SPスティックのみ)
R+Sタイプ(ハイリング+SPスティック)
R+Sタイプ
(ハイリング+SPスティック)

はりの種別により適用可能な型式が異なります。

適用型式 大ばり 小ばり 片持ばり
Rタイプ
Bタイプ
R+Sタイプ
Sタイプ ×

※Sタイプは小ばり・片持ばりにのみ適用できます。

補強例

応力に対してRタイプ、Bタイプ、R+Sタイプ、Sタイプを使い分けることが可能です。

大ばりの場合

大ばりの場合

小ばりの場合

小ばりの場合

R,R+Sタイプの耐力図例

養生方法
はり H -600×200×9×12
孔径 Φ300

耐力検討は当社にて行います。

※R+Sタイプ、SタイプはSRC造には適用できません。

概要

ハイリング

高せん断応力への対応が可能にハイリングBタイプを標準化
φ100~φ300まで25mmピッチ対応可能
φ500、φ550、φ600も標準化しました。

1.材質

  • HFW490(SN490B同等)国土交通大臣認定取得材(認定番号MSTL-0234, 0515, 0544, 0548)

2.品種(貫通孔内径)

  • Rタイプ、Bタイプ
    Φ100~Φ300(25㎜ピッチ)
    Φ300~Φ600(50㎜ピッチ)

3.構造種別

  • S造、SRC造

SPスティック

SPスティック

より経済設計が可能に
SPスティックを標準化
SPスティックで補強することにより、効率的に曲げ耐力を向上することが可能

1.材質

  • HFW490(SN490B同等)国土交通大臣認定取得材(認定番号MSTL-0451)

2.品種(貫通孔内径)

Φ100~Φ300(25㎜ピッチ)
Φ300~Φ450(50㎜ピッチ)
Φ650、Φ700の特形品も対応可能

3.構造種別

S造

導入のメリット

ハイリングⅢ工法の利点

  1. point-1貫通孔径は、はり成の2/3以下に対応可能(S造の場合)
  2. point-2塑性化領域への貫通孔設置が可能(S造:2ヶ所、SRC造:1ヶ所)

    ※詳細は適用範囲をご参照ください。

補強材の設計、製作が不要

補強材の設計、製作が不要

貫通孔のサイズに合わせて型式を標準化していますので、補強材の設計や製作、拾い出し作業等が不要です。

溶接量の低減

溶接量の低減
溶接量の低減

独自の溶接開先形状を採用し、必要溶接高さ(段部)以上の溶接を確保することで、はりウェブ面まで溶接する必要が無く、溶接量の低減を実現しました。

(例)貫通孔1箇所あたりの溶接量

はりサイズ H700×300×13×24
貫通孔径 Φ300
在来工法 2PL-9×550×550
ハイリング 300Rまたは300B

作業工数の低減

作業工数比較(当社調べ)
作業工数比較(当社調べ)

在来工法に比べ、仮組みの工数が少なく、溶接熱によるはりの変形やひずみも少ないので、作業工数の低減が可能です。

設計自由度の向上

在来工法に比べ、ピッチを狭くすることが可能です。

在来工法(PL補強)の例
在来工法(PL補強)の例
ハイリングⅢ工法
ハイリングⅢ工法
貫通孔ピッチ(1.5d)
  • 塑性化領域に貫通孔2箇所まで設置可能です。※(塑性化領域に設置する貫通孔径の合計は、はり成の2/3以下)
  • 貫通孔径(d)は、はり成の2/3(孔径比0.66)まで設けることができます※

※無条件ではありません。検討が必要です。

設計自由度の向上

塑性化領域の定義の最適化

従来は「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」に従って、塑性化領域を定義していましたが、シアスパン比(L₀/D)とはりが塑性化する領域の関係を考慮することで、塑性化領域の範囲を最適化しました。

塑性化領域の定義の最適化

型式一覧(寸法表)

寸法表に関しては、下のPDFにてご確認ください。

適用範囲

S造の場合

構造種別 S造
適用可能はり種別ごとの補強タイプ 大ばり:Rタイプ,Bタイプ,R+Sタイプ
小ばり・片持ばり:Sタイプ,Rタイプ,Bタイプ,R+Sタイプ
H形断面鉄骨 はり成(D) 2400㎜以下
はり材質 400N/㎟級、490N/㎟級、520N/㎟級、550N/㎟級、590N/㎟級
塑性化領域への貫通孔 2箇所以下(ただし、2箇所の貫通孔径の合計は2/3D以下)
貫通孔径(d) Φ100~700、孔径比:はり成の2/3以下
はりウェブ幅厚比 95以下(ただし、塑性化領域に設置する場合はFA,FBのみ)
はり成とはりフランジ幅(B)の比 D/B≦8
ピッチ(P) 孔中心間距離P≧1.5d(dは孔径の平均)
偏心量(e)

Rタイプ

Bタイプ

大ばりの塑性化領域:e≤1/2(2/3D-d)かつe≤1/2{D-2(tf+rf+5)-d3}
それ以外:e≤1/2{D-2(tf+rf+5)-d3}
R+Sタイプ 大ばりの塑性化領域:e≤1/2(2/3D-d)かつe≤D/2-(tf+rf+5+25)-d3/2-S
それ以外:e≤D/2-(tf+rf+5+25)-d3/2-S
Sタイプ e≤D/2-(tf+rf+5+30)-d/2-S
はりを構成する構造部材との距離(G)
(ガセットプレート等)
補強金物同士の距離(P')
ハイリング・SPスティック端部から20㎜以上
フランジスプライスプレートとSPスティックの距離(G') 0㎜以上
注意

注意

設計用軸力の作用するはりの適用範囲はオプションをご参照ください。

大ばりの場合

大ばりの場合
大ばりの場合
SPスティックはハンチ部分に取り付けることはできません。

小ばり・片持ばりの場合

小ばり・片持ばりの場合
※耐力確認により本規定以上の寸法が必要となる場合があります。

高さの納まり適用範囲

高さの納まり適用範囲
※偏心量(e)を計算することで上記の規定を満足できます。

凡例

tf:はりフランジ厚 rf:フィレット部半径(ビルトHはりの場合は脚長)
d3:ハイリング外径 B1:SPスティック長さ
S:SPスティック高さ r1:rf+5㎜以上(ハイリング外径~はりフランジまでの間隔)
r2:rf以上25mm以下(SPスティック端~はりフランジまでの間隔) r3:2a1mm以上(SPスティック端~下孔径までの間隔)

SRC造の場合(Rタイプ・Bタイプ のみ適用)

構造種別 SRC造
H形断面鉄骨 はり成(D) 1200㎜以下
適用可能はり種別ごとの補強タイプ 大ばり・小ばり・片持ばり:Rタイプ・Bタイプ
はり材質 400N/㎟級、490N/㎟級
塑性化領域への貫通孔 1箇所以下
貫通孔径(d) Φ100~600
孔径比:0.7Dかつ0.4Drc以下(ただし、塑性化領域はd≦0.28Drc)
鉄骨はりウェブ幅厚比 95以下
鉄骨はり成とRCはり成(Drc)の比 D/Drc≧0.37
ピッチ(P) 孔中心間距離P≧3.0d(dは孔径の平均)
偏心量(e)

e≤1/2(2/3D-d)かつe≤1/2{D-2(tf+rf+5)-d3}
d≧2/3Dの場合は偏心不可

  • tf:はりフランジ厚
  • rf:フィレット部半径
    (ビルトHはりの場合は脚長)
RC上下端部と貫通孔の縁あき(ed) 180㎜以上
はりを構成する構造部材との距離(G)
(ガセットプレート等)
補強金物同士の距離(P')
ハイリング外径から20㎜以上
高さの納まり適用範囲

※耐力確認により本規定以上の寸法が必要となる場合があります。

注意

注意

RC部分は別途検討が必要です。
設計用軸力が作用するはりには使用できません。

認定書・評定書

国土交通大臣認定書(写)ハイリング

国土交通大臣認定書(写)
ハイリング

国土交通大臣認定書(写)SPスティック

国土交通大臣認定書(写)
SPスティック

日本建築センター評定書(写)

(一財)日本建築センター
評定書(写)

(一財)日本建築センターの一般評定取得

実大実験
実大実験

数多くの実大実験と解析を基に耐力・変形の性能を確認し評定を取得していますので、貫通孔部の耐力評価が明確です。

実験後試験体最終状況

①無孔ばり

はりウェブ面外座屈小
はりウェブ面外座屈小

②有孔無補強

はりウェブ面外座屈大
はりウェブ面外座屈大

③有孔ポジリング補強

③有孔ポジリング補強
はり H600
貫通孔 Φ300

オプション

設計用軸力が作用するはり補強パターン

設計用軸力の作用するはりにもハイリングをご使用いただくことが可能です。
補強パターンは2つありますので設計条件に見合う補強方法を選択できます。

パターン①:ハイリングのみで補強

パターン①:ハイリングのみで補強

ハイリングのみで補強されたはりに設計用軸力が作用している場合も適用が可能になりました。

構造種別 S造
適用型式 Rタイプ・Bタイプ
軸力範囲 -0.25Ny~0.25Ny
Ny:はりの軸耐力
貫通孔径(d) 1/2D以下
塑性化領域 適用不可
その他の適用範囲 S造用適用範囲と同様
注意

注意

ハイリングのみで補強した有孔部の補強耐力は設計用軸力分、低下します。
孔位置に生じる応力に対して有孔部の耐力が上回っていることの確認が必要です。

パターン②:ハイリング+PLで補強

パターン②:ハイリング+PLで補強

別途、設計用軸力を負担する補強プレートを取り付けることにより、ハイリングで補強した有孔部の耐力を設計用軸力分低下させることなく検討ができます。

構造種別 S造
適用型式 Rタイプ・Bタイプ
軸力範囲 -0.25Ny~0.25Ny
Ny:はりの軸耐力
貫通孔径(d) 1/2D以下
塑性化領域 適用不可
その他の適用範囲 S造用適用範囲と同様
警告
警告

パターン②の耐力検討は、曲げ・せん断力を対象としています。
作用する軸力を負担可能な補強プレートを設計者様にて別途ご検討ください。補強プレートの材料手配は、施工会社様にて別途ご対応ください。

注意
注意

パターン②で連続孔となる場合、補強プレートのサイズにより、適切なピッチを確保してください。

お問い合わせ・
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